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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 小説・大岡川ラブロマンス。其の五
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小説・大岡川ラブロマンス。其の五

◇ホステスとパトロン
芸者秘話3-2
ミドリが散々サツキの悪口を言って居る所へ、
「アズサさあん!永楽さんからお迎えの車が来ましたよ!」
とチーママの声でインターホーンが呼んでいた。
「じゃ、お先に・・・」
と座を立ったが、遂に今日の同伴の相手からの連絡は無く、
急遽オーナー田原の経営する割烹料亭“永楽”へ臨時コンパニオンとして
派遣されたのである。

マンションの玄関を出るアズサの耳にチーママの和子とオーナー田原の
痴話喧嘩の声が聞こえて来た。
「そんなシラを切ったって、ちゃんとしたネタが入っているだぞ、
 相手は大学生の若造と言うじゃねぇか、えゝ、そうだろう・・・」

県議会の総務であろうが、そこいらのあんちゃんであろうがヤキモチの
妬き方は一様に同じだと思いながら、アズサは迎えのタクシーに乗った。
同伴を約束したパトロンから今度約束を破る様だったら、
そろそろ他にパトロンを探そうかと思っていると、
「はい、永楽さんですよ」と運転手の声がした。

永楽の座敷にはこの頃チョイチョイ新聞に派手に広告している金融会社の
専務下田氏と、県庁の役人達が五、六人。座卓を中にして酒杯が乱れ飛んでいた。
「いよう別嬪!待ってました」
座の中から声が掛かった。コンパニオンの中に妹の千恵子が居た。

「お姉さん、こんばんわ」
妹が座を立ってアズサの側に来ると、
「何だ、お前達姉妹だったのか?そう言えばよく似ているね」
と、下田が言った。
「ご存知無かったの?姉妹コンパニオンで有名なのよ」
先輩格のコンパニオンが言った。


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ゆびさきの詩9-4
「そうか、知らなかったな、さあ、姉妹、一パイいこう」
下田はかねてからアズサに気があった。アズサは下田の注ぐ杯を受けながら、
「ホンの一杯きりよ、あたしは駄目なんですよ」
パトロンの湯島から今夜中に電話が無かったら、下田をパトロンにしても良いと思った。
湯島は噂に高いケチであるが、成り上がりの金融会社の専務下田は、
金離れの良い男で有った。歳も湯島より遥かに若い。

品の無い成り上がり者であっても、持つものを持ってさえいれば、
我慢の出来ない事も無かった。
「呑めないのか、それは残念だな」
チョビ髭を生やした下田の眼は、抜け目の無い高利貸のそれであったが、
「後で話がある。君の店に近い花之木町の銀波と言う料亭で待って居るから
 来てくれないか?ねぇ、約束したよ」

役人達がコンパニオンを相手に鼻の下を伸ばしている隙にそう言った。
「あら嬉しい、何かしら」
嬉しそうな表情で頷いて見せた後も、湯島の方から電話さえ掛かって来れば、
下田の依頼は断ってしまう積りであったが遂に十一時になっても、
湯島からは何も言って来なかった。

如何しても欲しい春物の衣装代の30万円は欲しいアズサは、
「どうせ約束をすっぽかした方が悪いんだから、かまうことないわ」
と自分に言い聞かせたアズサは一旦マンションに引き上げて、
着替えて行くのがプロの女の嗜みだと心得ていた。

暗い県道で二人の男女が抱き合ったまま動かない姿が、
暗闇に黒く浮いて見えるのを窓越しに覗きながら、アズサは二十五歳に成る
今日まで、恋と言うものを知らずに過ぎてしまった自分が哀れに思えた。

恋らしい恋をしたことのアズサは、郷里の長野県から横浜に住む芸者だった
叔母のところに、母に連れられて来たのが十六の時、それから九年、という
歳月が流れた今日まで、アズサの肉体を貪った男は何人いただろうか。
一時の慰みに成っても心から恋しいと思った男には出会わなかった。

水商売の女にとってはネクタイや靴下と同様、春夏秋冬の衣替えと同じであった。
現在の造船会社の専務であるパトロンの湯島はアズサの十何人目かの男である。
長い間この道に居ると男との縁の切れ目がハッキリと判るのであった。

今夜がその踏ん切りの夜であると思うと、アズサは何とかして景気の良い、
パトロンを見つけて湯島の鼻をあかしてやらなくてはと思った。
「貴方に捨てられても、あたしはこれこの通りNo1ホステスとして健在なのよ」
と見せてやりたかった。
出会った女1-1
「こんばんわ、遅くなってすみません」
大岡川沿いの料亭“銀波”の奥座敷には金融会社の専務下田が、
床の間を背に丹前に着替えてどっかと胡坐をかいて酒を呑んでいた。
「随分専務さんはお待ちかねだったんですよ」と下田に言い含められたらしい
仲居頭が、アズサを下にも置かない挨拶であった。

それと察したアズサは、「あら!本当ですの嬉しいわと、くの字に媚態を見せて、
「さあ、ご返杯下さいな」と、銚子を取り上げると、仲居頭は席を外しながら、
二人を睨む真似をした。「それではしんみりとお二人でどうぞ」

下田はチョビ髭の小さな目を一層小さくして、
「今夜は帰さんぞ、覚悟は良いだろうな、この方は?」
と、親指を突き出して見せた。
「まあ・・・こわい・・・本当にしますわよ、その方はとうに袖なのよ」

「おい、本当かい?後になって困るんじゃないのか、そんなこと言って・・・
 ちゃんと内偵ずみなんだぞ、造船会社の専務なんだろう・・・」
「あら!!よくご存知なのね、でも、本当なのよ、目下は独身ですわ、
 良い人があったらお世話下さいな」
「どうも本当とは思えないな、どうだね、この私ではパトロンに不足かね」

「あたしの様な女で良かったら、何時でもこちらならOKよ、
 でもそれこそあたしではモノ足りないんじゃないかしら?」
「おいおい、本当かい!本気にしても良いのかい?
 実を言うと、前から私は君に首ったけだったんだが、どうもパトロンの居る
 と言う話に諦めていたんだが、四、五日前チラち妙な噂を聞いたのでね、
 これならひよっとすると脈があるかも知れないと思って、今夜誘って見た訳だ」

「ふゝゝゝ本当にあの人とは切れているのよ。
 だからしいさんさえその気なら、あたしはどうにでもなるわよ。
 あたしだって、前からしいさんとならと思っていたんですもの」
「嬉しい事を言うね。よし、それなら、今夜は約束の印に、いいだろう?」
「えゝどうにでも・・・あたしは割りに我が侭な女なのよ、それでもいいのかしら?」
「あゝホステスで我が侭じゃないのは魅力がないもんだ。
 我が侭は何でも通して上げるよ」

「やっぱり話が判るのね、嬉しいわ、その代わりあたしは実があるわよ、
 うんと可愛がって貰うから」
と甘えて見せながら、先程下田が言った言葉が気になってならなかった。
  1. ホステス物語
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも10年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて今年の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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