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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 時代小説・旅道連越路春。其の十四
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時代小説・旅道連越路春。其の十四

*表題は『旅は道連れ越路の春』と読む。
旅道連越路春33(越後糸魚川・親不知)
◇玄庵ゴマの蝿に金を取られる事
玄庵は乞われる侭に坂田屋で半月程滞在した。その間に内儀は毎晩
玄庵を引き付けて、一晩に三度も四度も気を遣ると云う荒淫振りだった。
その間に良吉は三度ばかり遣って来たが、内儀は旦那が回復して
同衾しているから首尾が悪いとお梅に云わせて、追い返した。
事実、新兵衛の病気は日一日と快方に向かっていた。
もう半月目には廊下へ出て来る程になった。玄庵は坂田屋を退去した。

久し振りに街道を行くと、寒い北国だが、すっかり新緑も濃くなって、
辺りの景色が眼に染みる様だった。
「先生、随分長逗留でしたね」
「久し振りでホッとしたよ」
「御尤も様で、ヘヘヘ・・・」
「何がへへへだ。おめえこそ巧くやったろう」
「冗談でしょう、女中が云ってましたよ、あそこには美しい内儀さんが、
 主人の病気でかつれて居るから、猫にカツオ節だって」
「冗談も休み休みにしろ、先方は良家の内儀だよ」
「それが先生の趣味だから世話がねえや」
「図星だ、ウァハッハハハハ」

喋りながら小杉、東岩瀬と過ぎて、神通川を越えると、"反魂丹”で有名な富山だった。
二人は山城屋と云うのへ泊まって、翌日は日本三名山の一つ立山を遠望しながら、
其の日は魚津泊り、それから、泊で一泊し、翌日は越中越後の国境の関所を超え、
親不知で驚嘆の声を上げながら遠海の手前まで来ると、後ろから来た商人風の男が、
「旦那方は随分早足ですねえ、私も道中はかなりな早足の積もりですが、
 あなた方にはかないません。で、どちらまでお出でで御座いますか」

道中で話し掛けて来る者にろくな者はない事は、旅慣れた玄庵には良く分かっていたが、
見ると男は顔の白い優男で、そんな悪者とも思えなかったので、
「新潟まで行こうと思っているが」
「そうですか、それは大変ですね、私は名立まで行きますが、
 こんな事を申し上げるとまるでゴマの蝿のようですが、
 名立までご一緒にお供願えないでしょうか、
 何だか一人旅は心細くてしょうがありませんので」

男は懐から手拭を出して額の汗を拭いた。迷惑だとは思ったが、
頼まれて見れば仕方ないので、兎に角、糸魚川まで同道する事に成った。


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旅道連越路春34
糸魚川は高田支配下で一万石の城下だけに町筋も整っていた。
三人は熊野屋利助と云う宿に着くと、先に立った男は顔馴染みらしく女中達にも
心安くモノを云っていた。それで玄庵も多少安心して、其の晩は三人で
十本余りも銚子を空にして眠りについた。

ところが、あくる朝に成って伊助が眼を覚ますと、部屋で一緒に寝ていた筈の男の姿が
見えなかった。先に起きたのだろうと、起き上がって玄庵の部屋に行くと玄庵はまだ寝ていた。
「先生、もうお起きになったらどうです」
「あぁ伊助か、もう何時だ」
「もう彼此五ッでしょうぜ」
玄庵は起き上がると布団の下に手を入れて、
「あっ、しまった、やられたよ」
「えッ、さてはあいつだな」
「そうらしい、なっちゃいねえやハッハッハ」
「笑い事じゃござんせんぜ、先生ものん気過ぎらァ」
「今更騒いでもしょうがないよ、うまくやりやァがった、ちょつと油断しすぎたよ」

それから女中を呼んで尋ねると、今朝まだ暗い内に出発ったと云うのだった。
昨日来た時心安く話してたじゃないかと云うと、別に顔見知りではないが、
心安く云うから以前からの馴染みの客だと思っていたと云うのであった。

亭主も上がって来て騒ぎになったが、後の祭りでしかたがなかった。
「どうもとんだ御災難でお気の毒です」
「ところで、すっかりやられてしまったので宿銭もないのだが、熊野屋さん、
 実はわしゃ医者だが、何処かで病家がないだろうか」
「あ、お医者様で御座いますか、それなら丁度幸いでございます、
 この先に三国屋と云う呉服屋がござりますが、
 主人が一年余り前に亡くなってからと云うものは、内儀のお恵さんと云うのが
 ぶらぶら病で、方々の医者に掛かっても良くなりませんので、今では商売も止めて、
 女中と二人が、春になっても戸口から一歩も出ずに、
 家の中に閉じ篭って居られるので御座りますが、なんなら、
 手前からそう申しますから、一度診てあげて頂いたらどうでしょうか、
 何しろ身代の有るお家ですから、お礼もたんまりなされるだろうと存じますが」
 
玄庵は金などよりも相手が後家と云うので、礼の好き者心を沸き立たせた。
しかし、老女じゃ興味も半減する。
「その内儀さんと云うのは幾つぐらいかな」
「たしか、二十九か三十歳ぐらいだ思いますが」
玄庵は金を取られたことなんか、すっかり忘れていた。
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも10年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて今年の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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